減価償却でできる6つの節税対策

減価償却でできる6つの節税対策

節税できないか考えている事業主の方へ
10万円以上で1年以上使う機械や車は「減価償却」で既定の年数に渡って費用に計上しますよね。その減価償却のやり方で節税できる方法がいくつかあります。
今回は「減価償却でできる6つの節税対策」をお届けいたします。

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減価償却でできる6つの節税対策

 

その1:黒字の場合はできる限り「費用に」が減価償却での節税の基本


車イメージ
「減価償却」はご存知の通り、長い年数使うものをその年数分で分けて徐々に経費にしていこう、というルールです。
例えば500万のトラックを数台買ったとして、初年度で全部経費にしてしまったら初年度は大赤字、次年度からは実際に車を使い続けているのに維持費だけになって黒字になりますよね。そういったずれが起こらないように税法上で「耐用年数」を決めて、その年数で徐々に費用に計上すればいいんじゃない?ってことです。

でも、いくら耐用年数を決めたからといって、実際のずれがすべてなくなるわけではありません。
当たり前の話ですが、上記の500万円のトラックを数台買った場合、支払いは購入した時です。でも1年目の損益計算書の費用には減価償却の額のみが計上され、経費で償却していない分は資産として計上されるので、実際は現金がないのに会計上では黒字で法人税を払うということが起きます。
もちろんその翌年度からは実際のお金が出ていくわけじゃないのに年々費用として償却されていくのですが、初年度お金がないのに法人税を払うのはつらいですよね。

そして、耐用年数も実際と税法上の耐用年数は違います。今は機械類なども入れ替わりが激しく、決められた償却期間の前に買い替えなければいけないこともあります。
例えば償却期間が5年の工具があったとしても、実際は3年サイクルで買い替えなければならないという場合もあります。使える期間より税法上の償却期間が長ければ、会計上の利益が大きくなります。現実は買い物のたびにお金は出ていくのに会計上では経費計上できないので、その分法人税を余分に支払わなければなりません。

こう説明をすると「減価償却ってなんか面倒……」って思いませんか?
減価償却はしっかりルールが決まっているので、「今期は黒字だから減価償却分を全部費用にしよう!」と自分で自由に決められるものではありません。
しかし、そのルールの中でいつ購入するか・どんなものをいくらで購入するか・どのルールで経費に計上するかは自分で決められます。それによって、税金の支払い額が変わってくるのです。
税金の節税は「黒字の時には経費をたくさん計上して会計上の利益を少なくする」のが基本です。減価償却をうまく利用して、余計な税金を払わないようにしましょう!

 

その2:黒字なら「定率法」を活用する


減価償却の方法には、「定率法」と「定額法」があります。
定率法は新しいほど償却額が大きくなる支払方法です。新しいものは価値があり、古くなると価値が無くなっていく、という考えで、一定の割合をかけて償却額を割り出します。
定額法は購入金額から耐用年数を割り、毎年一定額ずつ払っていく単純な計算法です。原則定額法で償却することになり、定率法で償却する場合は税務署に申請が必要です。
他にも生産高比例法(実際使った分を償却していく)などがありますが、ほとんどが定額法か定率法です。

【表】

定額法

定率法

1年目

¥125,000

¥250,000

2年目

¥125,000

¥187,500

3年目

¥125,000

¥140,625

4年目

¥125,000

¥105,468

5年目

¥125,000

¥79,101

6年目

¥125,000

¥79,260

7年目

¥125,000

¥79,260

8年目

¥124,999

¥78,785

定率法と定額法のどちらを選んでも、最終的に償却額は同額(1円残し)になります。が、一般的には「定率法」の方が早く費用化出来るために良いと言われています。
その1で説明した通り、買った初年度に黒字であるならば、少しでも多く「費用」にすれば利益が少なくなって節税になります。
翌年以降も黒字になるとは限らないので、黒字ならば早めの減価償却の方が合理的というわけです。

定額法も確実に耐用年数の間ずっと壊れることなく使い続けられるものならば問題はありません。
そして、事業を始めたばかりで軌道に乗るまでの間や、購入年度がすでに赤字計上の場合は、定額法であったほうが初年度の赤字額が増えずに済みます。

 

その3:土地建物を償却する場合は、建物の割合を大きく


建物内装
事務所や工場などの土地を償却する場合、土地は資産価値が古さによって変動するものではないので費用として償却できないのはご存知ですよね。
なので、建物の割合が大きい方が費用として償却出来て、節税対策になります。

とはいえ。新築で買った場合、建物の価格と土地の価格が明らか分かれているので、この方法は使えません。
中古で建物つき土地を購入し、土地と建物の時価が明確には判断できない場合は、相続税評価額や固定資産税評価額など、区分する方法が選べます。
税理士さんや会計士さんなどに相談し、そのときに一番「建物」の価格が高くなるように区分しましょう。
中古の場合、建物に付属する設備(ボイラーや冷暖房など)も分けて償却することが可能です。建物全体の金額の30パーセント程度までなら建物付属設備として扱うことができるので、設備を早めに償却して費用にすることで節税が可能です。

また、飲食業などされる方で、貸店舗を内装される方でも同じようなことが言えます。国税庁のHPには「(内装の耐用年数は)造作をした建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して合理的に見積もる」と書かれています。
でも。建物の「耐用年数」ってめちゃくちゃ長いです。例えば鉄筋コンクリートで木造内装の場合は34年です……。
実際34年同じテナントで飲食業を営む方、少ないですよね。これも工事の明細から建物設備に該当する部分は短い年数で償却できたりするので、最初に減価償却をするときに適当にせずに税理士などに相談してみましょう。

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その4:車や機械も「中古」の方が早く償却できる


中古車や機械などの中古資産の場合、耐用年数の計算が特殊になり、既に使用している年数に応じて耐用年数が短くなります。
国税庁が指定する計算方法があるのですが、単純に言えば耐用年数が短くなるので、その分早く償却できる=一年の費用が新車よりたくさん計上出来るということです。
車を購入した場合は、それにかかる税金だとか、付随するもろもろの費用があります。その費用の中には経費計上できるものが多くあるので、これらは購入年の費用で計上して、残りの車本体代を減価償却することが大切です。

ただし、中古を買う場合には注意が必要です。
例えば中古車で実際耐用年数分のりつぶすなら中古の方が良いかもしれませんが、中古車の場合は劣化のためすぐにメンテナンスが必要になったり、車検のときに費用がかかってしまう場合がありますよね。
実際に払うコストが新車より多くなれば、せっかく節税しても無駄なお金を支払うことになるかもしれません。
機械でも同様です。無駄な費用を使うなら新しいものを買った方がメンテナンスなどのコストが安く済む場合もあります。
税金が少なくなっても、「他に支払う額」が多くなれば本末転倒です。そこをきちんと頭に入れておきましょう。

 

その5:減価償却資産を買うタイミングを見計らう


減価償却にあたる設備などを購入する場合、事業に使い始めたときから月割りで計算することになります。
決算の1か月前に納品されたとしても、決算期末までに事業に利用していなければ税法上のルールで減価償却はできません。
その逆で、1か月前から納品されて事業に使っていれば、実際の支払が次の期だったとしても1か月分は減価償却できることになります。
このようにタイミングによっていつから償却できるかが決まるので、決算や次年度予測などを見て、計画的に資産を買うタイミングを決めるのが大切です。
黒字の時に設備投資をする場合は、できる限りお金を払った期にできるのがベストです。

 

その6:特別償却を利用する


機械設備イメージ
税法は時代とのずれが生じないように、結構こまめに変わります。
期間限定で、いろいろな控除をしてくれる場合があるのです。その中に減価償却に関する控除もたくさんあります。
例えば平成29年度まで行われているのは「中小企業等投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」です。

これらは税法が変わるたびに変わりますので、当てはまる特別控除がないかこまめにチェックすることが大切です。

 

あとがき


いかがでしたでしょうか?
減価償却を計画的に行うと、キャッシュフローが悪い時に出ていく現金が少なくなります。タイミングや購入額など綿密に計画を立てましょう。
今回は「減価償却でできる6つの節税対策」をお届けいたしました。最後までお読み頂きありがとうございます。

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