配偶者控除と扶養控除について理解したい方へ
税金や社会保険の分野に、複雑なイメージをお持ちではないでしょうか。
今回は、配偶者控除と扶養控除について、両者の違いと所得税・社会保険の5つのポイントをお届けします。
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配偶者控除と扶養控除~所得税と社会保険 5つのポイント~
その1:配偶者控除と所得税
配偶者控除とは、下記に当てはまる配偶者がいる場合に適用されます。
配偶者控除の対象者とは
配偶者控除の対象者とは |
●納税者本人と生計を一にする配偶者であること
●配偶者の合計所得金額が38万円以下であること |
配偶者控除 控除額 |
一律38万円 |
「生計を一にする」という表現は、税務関係でよく耳にする言葉ですが、納税者と必ず同居しなければならないと言うことではありません。例えば、通勤や修学のための一人暮らし、老人ホームへの入居等で別居している場合でも、生活費や学費、療養費等の送金が常に行われている場合等には、「生計を一にする」扱いが認められます。
合計所得金額が38万円以下とは、年収に換算すると103万円以下と言うことです。
この二つの要件に当てはまる配偶者がいる場合に、配偶者控除として納税者の所得から38万円が差し引かれます。所得が低くなることで、課される所得税も低くなります。また、所得税は、所得が高い人ほど税率が高くなる超過累進課税制度がとられているため、控除されることで、所得税の税率そのものが低くなる可能性も出てきます。
では、合計所得金額が38万円を超える配偶者の場合はどうなるのでしょうか。
その2でご紹介します。
その2:配偶者特別控除と所得税
配偶者特別控除とは、配偶者控除の対象とならない場合で、下記に当てはまる配偶者がいる場合に適用されます。
配偶者特別控除の対象者とは
配偶者特別控除の対象者とは |
●納税者本人と生計を一にする配偶者であること
●配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満であること |
配偶者特別控除 控除額 |
最高38万円 |
ただし、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下でなければ適用となりませんので、注意が必要です。合計所得金額が1,000円以下とは、給与収入だけで考えると、年収に換算して約1,230万円となります。
配偶者控除では一律に38万円が控除されましたが、配偶者特別控除では、配偶者の合計所得金額が高くなるにつれ、控除額は少なくなります。下表で詳しく確認しましょう。
配偶者の合計所得金額 | 配偶者特別控除の控除額 |
38万円を超え40万円未満 | 38万円 |
40万円以上45万円未満 | 36万円 |
45万円以上50万円未満 | 31万円 |
50万円以上55万円未満 | 26万円 |
55万円以上60万円未満 | 21万円 |
60万円以上65万円未満 | 16万円 |
65万円以上70万円未満 | 11万円 |
70万円以上75万円未満 | 6万円 |
75万円以上76万円未満 | 3万円 |
76万円以上 | 0円 |
合計所得金額が76万円未満とは、年収に換算すると141万円未満と言うことです。
つまり、配偶者を対象とする控除を受けるためには、配偶者自身の年収を141万円未満に抑える必要があります。
また、合計所得金額が38万円(年収103万円)を超えると、配偶者自身に所得税がかかりますので、注意が必要です。
その3:扶養控除と所得税
扶養控除とは、配偶者以外で下記に当てはまる扶養親族がいる場合に適用されます。
扶養控除の対象者とは
扶養控除の対象者とは |
●納税者本人と生計を一にする配偶者以外の親族であること
●その親族の合計所得金額が38万円以下であること |
扶養控除 控除額 |
A) 一般の控除対象親族:38万円
B) 特定扶養親族 :63万円 C) 老人扶養親族 :58万円/48万円※ |
扶養控除では、対象者を年齢ごとにA~Cの3つに分けて、控除額が決められています。
A) 一般の控除対象親族とは…16歳以上 19歳未満の人
B) 特定扶養親族とは …19歳以上 23歳未満の人
C) 老人扶養親族とは …70歳以上の人
※老人扶養親族は、納税者とその配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)で、納税者又はその配偶者と常に同居している人の控除額は58万円、それ以外の場合は48万円になります。
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その4:配偶者と社会保険
配偶者を対象とする所得税の控除を最大限に受けるためには、配偶者の年収を103万円以下に抑えなければならないこと、年収が141万円を超えてしまうと控除が受けられなくなることが分かりました。
夫(妻)が会社勤めの場合では、健康保険や年金と言った社会保険の分野でも、配偶者を対象とする制度があります。
配偶者の年収 | 健康保険 | 国民年金 |
130万円未満 | 夫の扶養に入るため、保険料の負担なし | 第三号被保険者になるため、保険料の負担なし |
130万円以上 | 勤め先の健康保険に加入(加入できない場合は国民健康保険に加入) | 第一号被保険者、第二号被保険者となる |
年収130万円以上になると、夫の扶養から外れ、配偶者自身が健康保険あるいは国民健康保険、厚生年金あるいは国民年金に加入して、保険料を負担しなければなりません。このため、現行の制度では、年収130万円以上150万円未満の場合は、配偶者の手取りが減ってしまう現象が生まれています。
その5:扶養親族と社会保険
扶養親族を対象とする社会保険の制度は、健康保険のみとなります。
被保険者との関係 | 同居の要件 | 年収の要件 |
子・孫・弟・妹・父母、祖父母といった直系尊属 | 不要 | ・130万円未満※
・原則として被保険者の年収の半額未満 |
兄・姉・叔母、叔父といった三親等以内の親族 | 必要 | ・130万円未満
・被保険者の援助額>年収 |
※60歳以上の場合は、180万円未満
あとがき
いかがでしたでしょうか?
所得税や社会保険では、納税者・被保険者との間柄と年収が大きく関わってきます。
103万円の壁、130万円の壁、141万円の壁…、所得税と社会保険を理解して働き方を決めることも大切ではないでしょうか。
今回は、「配偶者控除と扶養控除について、両者の違いと所得税・社会保険の5つのポイント」をお届け致しました。最後までお読みいただきありがとうございます。
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