独立の費用について考えている方へ
一定の技術や知識を持つと、独立して自分の力を試したくなりますよね。でも独立するにはその分野の知識だけではなく経営の知識も必要です。
今回は個人事業主が開業する時にかかる費用について考えばければいけない7つのポイントをお届けいたします。
スポンサーリンク
個人事業主が開業する時にかかる費用について考えばければいけない7つのポイント
その1:まずは初期費用がいくら必要なのかをシミュレーションしてみましょう!
誰かの下で働いていることをやめ、自分が今まで身につけた力でお金を稼ぐ!誰しも一度は憧れるのではないでしょうか?
独立すると決めたら、まず気になるのが、「実際にいくら資金が必要なのか?」ですよね。
当然これは業種に寄って違います。表1には例として飲食店で必要な初期費用をまとめてみました。
このようにエクセルなどで一覧表をつくり、ネットで相場を調べてアバウトに計算してみましょう。大体の費用がわかるはずです。
表1:飲食店を開業する際の資金
費用内訳 |
おおよその目安 |
|
物件にかかる費用 |
保証金 |
家賃の半年分から1年分 |
前払家賃 |
家賃1カ月分~数ヶ月分 |
|
手数料・礼金 |
家賃の1~2ヶ月分 |
|
内装にかかる費用 |
新装の場合 |
坪30万~40万 |
改装の場合 |
リフォーム代数百万くらい(状態による) |
|
設備に関する費用 |
新しく買う場合は200万以上、中古でも100万程度 |
|
備品(消耗品)の費用 |
電話機やPCなど数十万 調理器具などで数十万 |
|
広告費 |
チラシや名刺など数十万 |
例:家賃15万円・20坪の物件を飲食店として開業した場合の概算
物件の費用:200万
内装の費用:新装で600万
設備:中古を利用して100万
品の費用:調理器具や食器で50万・その他で30万
広告費:20万
その2:忘れがちなのは当面の運転資金と生活費の確保です。
起業をしてすぐに事業が軌道に乗るかと言えば、そうではありません。
初期費用と同時に、当面の運転資金を用意しておきましょう。起業から半年〜1年くらい安定した収入が無くてもやっていける金額があるとベストです!
じゃあ当面の運転資金って例えばどんなものでしょう??
例えば仕入、事務所や店舗の家賃や水道光熱費、電話代やチラシなどの広告費です。
もっと詳しく見ると、青色申告をするときに必要な経理上の項目は表2のようなものがあります。表2を参照して、自分の事業にはどんなものがどれくらいの額必要かを把握しておきましょう!
このランニングコストを抑えられると、早いうちに経営を波に乗せることができます。
そして、事業資金だけでなく自分の生活資金の確保も忘れずにしておいてくださいね!
表2:経営にかかるランニングコスト
仕入 |
材料など直接製品に変わるもの |
租税公課 |
自動車税や固定資産税などの税金 |
荷造運賃 |
宅配便などの輸送費
|
水道光熱費 |
水道代・電気代・ガス代 |
旅費交通費 |
ガソリン代や電車賃などの交通費 |
通信費 |
ネット接続代や電話代・郵便代など |
広告宣伝費 |
チラシや名刺などの作成費 |
接待交際費 |
接待費や贈答品など |
新聞図書費 |
事業に必要な本などの費用 |
損害保険料 |
火災保険などの保険料 |
修繕費 |
修繕にかかる費用 |
消耗品費 |
文具など、単価10万未満の消耗品 |
福利厚生費 |
人を雇う場合にでてくる経費 |
給料賃金 |
|
専従者給与 |
|
利子割引料 |
金融機関以外に支払った利子など |
支払手数料 |
さまざまな手数料 |
地代家賃 |
事務所や駐車場などの家賃 |
貸倒金 |
取引先の倒産などで戻ってこなかった売掛金 |
雑費 |
その他の費用 |
その3:もし初期費用の一部を借金するのであっても、自己資金は用意しておきましょう
最初にいくら必要なのかが分かったら、今度は「その費用をどこから捻出するか」です。
開業時はかなりの費用がかかります。特に飲食店などの店舗経営の場合は開業資金が大きい額となるので、初期費用をすべて自己負担というのは難しいでしょう。
そうなると借りることになるのですが、銀行は担保がないと貸してくれないですし、消費者金融などは金利が高くて事業が軌道に乗る前に返済に苦しんでしまいます。
みんなどこで借りているかというと、「国(日本政策金融公庫)」か「県や市など自治体の融資制度」を利用しています。
しかし、この2つは銀行よりも比較的借りやすいとはいえ、当然審査はあります。審査に通って希望の額を借りるためにすることとはなんでしょう?
審査で最も歓迎されるのは担保をつけることです。しかし担保を付けられるほどの財産を持っているならば、自己資金で済む場合が多いですよね。
すると、次に見られるのが「自己資金の額」なんです。自己資金をしっかり貯めてあると「しっかりしている人だ」と評価されやすいです。
一時的に親族などに借りたお金ではなく、こつこつと給料から自己資金を貯めた形跡があると尚良しです。
「全額借りる」というのは、「計画性がない」とみなされることが多いです。金融事故はもっての他です!資金を借りるつもりでも、自己資金は確実に数百万用意しておきましょう。
スポンサーリンク
その4:初期費用と借金は極力少なく!が基本です。予算をあらかじめ決めてオーバーしないように!
さて、お金も借りられるめどが立って実際に準備に入るぞ!という時に、さまざまなものの見積もりをとりますよね。この時に考えて欲しいのが「予算をオーバーしないこと」です。
良く失敗例でありがちなのが、「良いものの方がいいだろう」とさまざまなものにお金をかけて初期費用をたくさん使ってしまうパターンです。お金を借りすぎてしまうと、事業が軌道に乗る前から返済に苦しんでしまいます。
オフィス機器メーカーや内装業者などは、当然自分たちの売上をあげたいので良いものを勧めてきます。そんなときは一旦「これって【今すぐ】必要なのか?」と考えてみましょう。
正直言って見えない部分は見栄を張らなくても使えればいいんです! とりあえず最低限使えるものを買っておき、事業が軌道に乗ってから改めて良いものを買うのが賢いやり方です。今はネットで「○○ 格安」と調べればさまざまな情報が出てくる時代です。情報を得るのに時間を惜しまないようにしましょう。
ただ、費用をかけないといっても、安いランチやお弁当を提供する飲食店を経営しようとしたときに「家賃が安いから」とビジネス街から離れたところに店舗を借りても儲からないのは明白ですよね。
オフィス(店舗)の立地や内装など、こだわらなくてはならないポイントは押さえておかないとダメです!
このように計算していくと、小さな店舗でもアバウトに計算しておよそ1000万かかることになります。
その5:個人事業主は「信用」がなくなります。当面の生活スタイルに関しても考えてきましょう。
個人事業主になって大抵の人が感じることは「ローンが組みづらい!」ということです。
例えば住宅ローンなど、ローン審査の対象年月(大体住宅ローンなら3年分)の間に赤字や所得が少ない年があったら、所得が多い年があってもお金を借りられないという現実が……。
ある程度安定した収入があっても、サラリーマンと借りられる額が違います。サラリーマンがいかに会社というものに守られてきたかを痛感する瞬間です。
この文を読んでいる方はまだ個人事業主ではなく、サラリーマンの(誰かに雇われている)方が多いと思います。
「サラリーマンのうちに家を買ってしまおう!」というのももちろんアリです。けれども、家を買うとなると事業の費用の他に「頭金を出してローンを組む」という余計な出費が増えるということも念頭に置いておきましょう。
家を買ったのに事業が軌道に乗らずローンも払えずで、家を売る羽目になったら目も当てられません。
また、当たり前ですが年金も国民年金になり、保険も社会保険から国民健康保険になります。税金もいままで給料から引かれていたものを自分で払うことになります。これがまた微妙に痛いんです。
そういった「サラリーマン時代には無かった出費」もあることを忘れずに。
その6:経営に強い人を確保しておかないと、無駄なお金を払うことになります。
会社を経営するときに大切なのは、「お金の計算に強い人間」が近くにいるか否かです。単純に収入と支出のバランスが崩れたら事業はやっていけません。
例えば腕の良い美容師さんがお店を開いたとします。凄く腕が良くてお客さんもついているのに経営が悪化するパターンが数多く見られます。
それは美容師さんが美容のプロでも、経営のプロではないからです。ドンブリ勘定だと例え儲かっているようでもいざお金の計算をしてみると……ということになりがちです。
かといって起業するときは忙しくて、顧客を確保することを優先して経理のことまで頭が回らないことも多いと思います。あなた自身がお金の計算に強いのがベストですが、経理のことに手が回らないようであれば簿記や税金関係に強い人材を一人確保しておきましょう。
商工会議所などで相談するのもアリですし、家族に協力してもらって経理を担当してもらうのもアリです。
その7:青色申告の申請をすると、税金の控除が65万円受けられます!
サラリーマンの時に確定申告ってしたことがありますか?医療費とかかからない場合、大抵は年末調整で終わると思います。
個人事業主の確定申告は「白色申告」と「青色申告」の二種類があります。名前を聞いたことはあるよ!って人は多いのではないでしょうか?
簡単に説明すると、白色申告は申告が簡単だけれども基礎控除額が10万円です。青色申告は簿記のルールに則って申告の書類を提出しなければなりませんが、基礎控除額が65万円です。
ここで出てくる「基礎控除額」とはなんでしょう?簡単に言うとサラリーマンでも個人事業主でも誰にでもつく税金の控除額です。
では、どうやったら青色申告ができるかというと、開業届と一緒に税務署に「青色申告承認申請書」を出すだけです。
今は簿記の知識がなくても青色申告ソフトがあれば簡単に申告することができます。もちろん簿記三級くらいの知識があれば尚良しです!
控除があるかないかで大きく違うので、忘れず頭に入れておきましょう。
なお、年間所得(収入から経費を差し引いた額)が600〜700万以上になるならば、個人事業主より株式会社を設立した方が節税となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「独立しよう」という熱意がある方は、費用に関するお金さえクリアすれば事業も次第に軌道に乗るはずです。 影ながら応援しています!
今回は「個人事業主が開業する時にかかる費用について考えばければいけない7つのポイント」をお届けいたしました。最後までお読みいただきありがとうございます。
スポンサーリンク
Speak Your Mind