個人事業主が社会保険について考えておきたい5つのポイント

個人事業主が社会保険について考えておきたい5つのポイント

個人事業主で社会保険関係が気になる方へ
「社会保険」とは健康保険・年金・労働保険の総称です。自営業者にとって社会保険について考えておきたいポイントがいくつかあります。
今回は個人事業主が社会保険について考えておきたい5つのポイントをお届けします。

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個人事業主が社会保険について考えておきたい5つのポイント

 

その1:国民健康保険は中間所得者に対して負担の大きい保険です。


会社を辞めて個人事業主になる場合、健康保険が「国民健康保険(以下国保)」に、厚生年金が「国民年金」になるということは、ほとんどの方が知っているかと思います。
けれども、国民健康保険や国民年金の支払額や受給額を知らない人は多いのではないでしょうか?
国民健康保険は国ではなく市町村の管轄なので、住んでいる市町村によっても計算方法が違います。

保険料は単純に所得によって計算されるものでは無く、「均等割額」といって家族の人数を掛けなくてはいけなかったり(単純に多ければ多いほど負担。0歳児でももちろん人数に入ります!)、40歳〜64歳は介護保険料を払わなくてはならなかったりします。
自治体によっては「資産割額」といって資産を持っている人から徴収するところもあります。
年収400万円くらいだとざっと年間25万〜45万円くらいの保険料を支払わなくてはなりません。

国保は会社の保険に属さない人が入る保険なので、年金受給者や生活保護者などの低所得者から自営業の高額所得者まで幅広い人が加入しています。
その制度上、中間所得者に対して負担感が高いものになっているのです。特に年収250万円〜600万円くらいで、結婚してお子さんのいる人はかなり負担を感じるのではないでしょうか。
今までは会社と折半で保険料を支払っていて、しかも給与から天引きの会社が多いと思いますので、個人事業主になると一度は「こんなに保険料を支払わなくてはいけないのか……」とブルーになります。

保険料は所得(年収-経費)によって変わるものですので、経費の見直しが大切になります。こういった計算も会社員のときにはなかったものですよね。
しかし保険料を安くしたいからと?いって確定申告で年収を低く申告したり経費を水増ししたら脱税ですし、仕事量を抑えて年収を低くしてしまったらローンを組んだりするときに「社会的信用」がなくなるので、バランスよく賢く見直しをしましょう。

 

その2:国民年金は一律ですが、貰える額も一律です。国民年金基金を検討しましょう。


次に気になるのは「国民年金」です。支払額はいくらくらいかご存知ですか?
支払額は収入に関係なくひと月15,590円(平成27年度)です。ちなみに毎年違いますが、少しずつ引き上げられてます。国保と違って計算が楽ですね。
しかし、貰える額の方は、厚生年金に加入した年月や保険料を納めた期間、現在の収入などによって計算が変わってきます。
20歳〜60歳まで40年間国民年金を払ってきた方は、老齢基礎年金が年780,100円(平成27年度)もらえますが、これから先この額がどう変わっていくかは微妙なところです。少なくとも嬉しい額にはならないでしょう。
個人事業主で生活に余裕がある方は、口数に応じて掛金を納める国民年金基金に加入することをお勧めします。国民年金基金も国民年金同様に確定申告の時に社会保険料控除の申告が可能です。民間の年金型保険も良いですよね。

年金は一括前払や6か月分まとめて支払うと多少格安になるので、少しでも安くしたい場合は前払制度を利用しましょう。

 

その3:従業員を雇う場合、労働保険に加入しないといけません


個人事業主でも従業員を雇う場合は労働保険に加入しないといけないのはご存知でしょうか?
労災保険は通勤中や勤務中の事故の際に出る保険です。労働時間や条件にかかわらず、従業員を雇用した時点で必ず加入しなくてはなりません。保険額は雇い主(事業主)が全額負担です。
雇用保険は、一定の労働条件を満たした従業員がいる場合に加入が必要となります。こちらは雇用される側と雇い主(事業主)とで負担します。

従業員を雇う場合はただアルバイト料を払うだけでなく、これらの金銭的負担や事務作業という間接的な負担があることを念頭においておきましょう。

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その4:個人事業主でも健康保険と厚生年金保険に加入しなければならない場合があります


個人事業主でも従業員を5名以上雇っている場合は、原則として社会保険に加入する義務があります。
社会保険(健康保険・厚生年金)に加入すると、事業主がこれらの支払を半額負担することになります。
従業員を雇うということは、ただ給料を払うだけではなく、事業主負担の保険料や事務手続きの煩わしさなどを考えたうえで、適切な人数を採用しましょう。

これくらい規模が大きくなってくると、個人事業主から法人にすることも検討した方が良いかもしれません。
法人にすると従業員が少なくなっても社会保険に加入する義務があるので会社負担は増えますが、自分自身も健康保険と厚生年金保険に入れますし、自分の保険料も半分会社負担の保険料として経費で計上できるというメリットもあります。

表:会社員と自営業の社会保険の違い

会社員の場合

個人事業主の場合

加入する健康保険

健康保険(被用者保険)

国民健康保険

加入する年金

厚生年金

国民年金

加入する労働保険

労災保険・雇用保険

支払者

会社と加入者の双方

全額自己負担

(労災保険のみ会社全額負担)

医療費負担料

3割(本人と被扶養者)

3割(世帯主とその家族)

その5:保険料や年金の支払を怠ると、差し押さえが待っています。苦しい時は市町村に相談です。


飛んでいくお金

20歳以上の日本国民は、何らかの健康保険に加入しなければいけません。これは権利ではなく義務なのはご存知でしょうか?
「仕入先への支払いが苦しいから年金や健康保険料は払わないでおこう」と放置しておくと、銀行口座に入ってくる売掛金などを差し押さえられてしまいます。
冗談かと思うでしょうが、基本的に国や市町村に払う税金や保険料は滞納したら財産を差し押さえられると考えておいてください。

ただ、差し押さえはあくまでも催促をずっと無視して保険料を滞納している悪質な人に行われるものです。払う意思さえ見せれば身ぐるみはがされるようなことはありませんし、勧告もなしに突然財産を差し押さえられることもありません。
延滞金の減免申請や滞納分の分割払いなどの措置もあるので(年金の支払を減額したら将来貰える年金額は減りますが)、払えない場合はとにかく市町村に相談して大事な売り上げを差し押さえされないようにしましょう。

 

あとがき


いかがでしたでしょうか?
会社員と違って、個人事業主は保険料もキャッシュフローの一部となります。漠然と支払うのではなく損得を見極めましょう。
今回は「個人事業主が社会保険について考えておきたい5つのポイント」をお届けいたしました。最後までお読みいただきありがとうございます。

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